診察室便り

外傷性鼓膜穿孔とは、外部からの物理的な衝撃で鼓膜が破れてしまうことをいいます。

原因は様々です。ご参考までに当院での外傷性鼓膜穿孔の原因、上位３つをご紹介します。

＜原因＞

１位 他人に平手で叩かれた（殴られた）

耳を平手で叩くと空気の逃げ場がなく、その圧力で鼓膜が破れてしまうことがあります。

残念なことに、女性の方が多いです。

２位 耳掃除しているときに、子供がぶつかってきた

子供の耳掃除をしているときに、もう一人の子供が甘えてお母さんにぶつかってきたというケースが多いです。子供が数人いる方は、他の子供の動きにも注意しましょう。

お母さんが自分の耳掃除をしているときに、子供がぶつかってくるケースやご主人がぶつかってくるケースもあります。

耳掃除するときは、周囲にも気をつけましょう。

３位 自分で自分を平手で叩いた

他の耳鼻科さんではどうだかわかりませんが、当院では何故か多いです。

原因の大元は「蚊」です。

夜寝ているときに、耳元の蚊がうるさくて蚊を取ろうとして、おもいきり自分の耳を叩いてしまったというケースです。

今のところ、すべて男性です。

半分寝ている状態で注意するのは難しいかもしれませんが、お気をつけください。

＜症状＞

１．聞こえにくい
２．耳がつまった感じがする
３．耳がぼ～っとする
４．痛い
５．出血など

※ すべての症状がでるわけではありません。
受傷後、これらの症状がある方は早めにお近くの耳鼻科を受診しましょう。

＜治療＞

１．鼓膜の再生を経過観察する

鼓膜は破れても再生します。細菌感染をおこすと回復が遅れるので、抗生物質の服用や点耳薬などで感染を防ぎながら鼓膜の再生を経過観察します。

鼓膜の穴の大きさにもよりますが、感染をおこさなければ１カ月程度で塞がることが多いです。

２．鼓膜を閉鎖する手術（当院ではおこなっていません）

どうしても鼓膜が塞がらないときは、手術で塞ぐことになります。

当院では手術はおこなっていませんので、大学病院等をご紹介します。

＜治療中の注意事項＞

１．入浴するときは、耳に水が入らないように工夫しましょう。
２．鼓膜が完全に塞がるまで、耳鼻科に通院しましょう。
３．新たに気になる症状がでてきたときは、担当の耳鼻科の先生に伝えましょう。
４．その他、おかかりの耳鼻科の先生の指示があるときは、その指示に従ってください。