鼻づまり用の点鼻薬の使用方法を間違えると、かえって鼻づまりがひどくなることがあることをご存知ですか？

今回は、点鼻薬が原因で起こる鼻炎、点鼻薬性鼻炎についてです。

ここでいう鼻づまり用の点鼻薬とは、血管を収縮させて鼻づまりを解消する点鼻薬（α刺激性点鼻薬）のことです。アレルギー性鼻炎のときに耳鼻科で定期的に処方される抗アレルギー性点鼻薬やステロイド点鼻薬のことではありません。

鼻づまり用の点鼻薬は速やかに血管を収縮させて鼻粘膜の腫れをとってくれるため、鼻づまりがすぐに楽になります。即効性があるため、この点鼻薬を好む方は多くいらっしゃいます。

しかし、長期連用したり比較的短期間でも多用すると、徐々に薬が効いている時間が短くなり効果も弱くなってきます。そして、血管を「収縮」させる薬に、血管が逆に反応し始めて「拡張」するようになってきます。

鼻づまりを治す薬で、逆に鼻づまりがひどくなるようになります。

これが点鼻薬性鼻炎です。

鼻づまり用の点鼻薬が、今までよりも短い時間しか効かなくなってきたら要注意です。お近くの耳鼻科で相談してください。

このことを知らないと悪循環に陥ってしまいます。

「あれ？さっき点鼻したのに、もう鼻がつまってきたぞ」 → 「もう１回使おう」 → 「おかしいなぁ。鼻が通らないぞ。うまく鼻に入らなかったのかな？」 → 「もう1回使っちゃえ！」・・・・

こんなことを繰り返しているうちに、さらに鼻づまりがひどくなってきます。そして、完全に鼻がつまります。

点鼻薬性鼻炎が重症になると、治るまでにかなりの時間を要することもあります。

鼻づまり用の点鼻薬は一時的に血管を収縮させて、一時的に鼻粘膜の腫れをとっているにすぎません。鼻づまりの原因となっている疾患（例えば、急性副鼻腔炎など）の治療をしないで、これを使えば楽になるからと言って使い続けていると、点鼻薬性鼻炎になる可能性が高くなります。

点鼻薬性鼻炎にならないためには、①点鼻薬の用法用量を必ず守る、②この薬のみに頼らずに鼻づまりの原因となっている疾患の治療をすることが重要です。

実は、私は高校生のときに市販の点鼻薬を自己流で使って、点鼻薬性鼻炎になったことがあります。先ほどの悪循環の例は、私の経験です。

あのときは、鼻で息を吸うことも吐くこともできす、夜は眠れず、口呼吸でのどは痛くなり、ついでに耳鼻科の先生にも怒られました。

点鼻薬性鼻炎は、点鼻薬を正しく使用していれば避けられる病気です。
点鼻薬の用法・用量をきちんと守りましょう。